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奇跡の船「宗谷物語」幸運だけではないどん底の日本を支えた活躍に感動!

Amazonプライムビデオで「宗谷物語」をみました。

艦隊これくしょんというゲームを通じて興味を持ち、大体の経歴はしっていましたが、詳しくしると
まさに「奇跡の船」の名にふさわしいと感じました。

進水直後に発注がキャンセルされ、スクラップにされてもおかしくないかったところ、造船所やそこで働く職員の熱意によって生き残り、その後海軍に徴用されて戦争に参加しました。

魚雷をくらったり、大空襲をいきのこるなど強運ふりを発揮して、戦況がきびしくなるなか、終戦まで生き残ります。

戦後は復員船として海外にいた日本人を祖国へ運び、灯台補給線として全国の灯台をめぐりながら、海の安全を守る灯台守の人々をささえ、南極観測船として厚い氷や南極の厳しい自然と戦い、最後は海上保安庁の巡視船としてオホーツク海で測量や漁船の安全確保につとめ、多くの人に惜しまれ、日本一周さよなら航海をへて、東京の海の科学館に保存され、現在も訪れる事ができます。

そんな宗谷の物語。いやあ、よかったですね。昔のアニメなので作画が古く感じますが、それが味があっていいですね。

それにそれぞれの時代の空気感がよく伝わってくるんです。戦況が徐々に悪化していってるなかで、乗員につたわる緊張感や悲壮感。僚艦が目の前で沈められるときの無力感。敗戦で今までの敵国に引き渡さざる得ない無念。すべてを失い呆然としつつも、祖国へ帰れる喜びも垣間見える引き揚げ者の表情。敗戦直後で、国際的地位など地の底にあって、南極観測に望む宗谷乗組員と南極観測隊員にかかるプレッシャーの重さなど、ひしひしと感じました。

特に終戦直後の復員船時代と初期の南極観測船時代のエピソードが興味深かったですね。

敗戦ですっかり自信を失っていた人たちが、船内で出産が行われたことをきっかけに、乗り合わせた全員が喜び笑顔をみせるところや、南極の厚い氷に閉ざされ身動きが取れなくなったときに、日本の力を示すために外国の力を借りたくないという思いを押し殺し、国際協調のために、駆けつけてくれたソ連砕氷船に救助を求める船長の葛藤には涙しました。

日本がどん底にあった時代、宗谷の活躍が多くの人に勇気を与えたことがよく伝わる作品だったとおもいます。

タロとジロのエピソードももちろん出てきます。

最後の海上保安庁の巡視船時代、オホーツク海で漁船が大量の流氷に取り囲まれ動けなくなり宗谷が救助に向かうというエピソードが有りました。

オホーツクでそんな事があるのかと驚きました。流氷同士がくっついて船が傾き、固まった流氷の上を歩いて島まで避難するのですから、にわかには信じられないほどでした。

また、ソ連軍が避難してきた漁師たちを手厚く保護し、引き渡しにも素直に応じていたのは少し意外でした。

戦争末期に条約を破って攻め込んできたり、8月15日以後の戦闘をやめなかったり多くの捕虜をシベリアに抑留したりといったことと、うまくつながらなかったので。

全話見終わって、想像以上に宗谷という船と乗員たちのがんばりがすごかったこと、国民の多くに慕われたのも当然と思わされました。

現在もお台場の船の科学館に保存されている宗谷。ぜひ見に行ってみたくなりました。

奇跡の船・宗谷物語

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