すべての人が読むべき本。絶対に正しいことなど何もない
99.9%は仮説 思い込みで判断しないための考え方 竹内薫
2006年と少し古い本だが、すべての人のためになる素晴らしい本だと思った。
飛行機がなぜ飛ぶのか科学的に説明できない。という話から科学のみならず、政治や宗教など様々な話題を振りながら、世の中で常識と思われていることが実は仮説にすぎず、絶対に正しいものなど何もないことを明らかにしていく。
特に印象に残ったのが、ガリレオが手製の望遠鏡をプレゼンした時の話。
地上に望遠鏡を向けたときは、「素晴らしい!」と絶賛されて、望遠鏡を月に向けたときは途端に「インチキだ!」と言われてしまう。
当時は「天上(宇宙)と地上を支配する法則は完全に別であり、天上は神が管理する完全無欠の世界」というのが常識だったから。
望遠鏡に写った月のクレーターは、その完全性を損なうものとして、当時の人には到底受け入れがたいことだったのだ。
事実やデータ、証拠などをいくら並べられても、それが自分の信ずる常識(仮説)に反するときは、人は決して受け入れないことを教えてくれる。
データで仮説は覆らない。仮説を覆せるのは仮説のみ
しかし、常識とは仮説にすぎず、それは時にひっくり返る時がある。
筆者は世間に受け入れられている仮説を「白い仮説」、受け入れられていない仮説を
「黒い仮説」と呼び、白から黒、黒から白へとひっくり返った例を挙げている。
なかでも脳の一部を切り取るロボトミー手術が、「いいこと」として受け入れられ、盛んに行われていたことは信じがたく、おぞましさを覚えてしまう。
アインシュタインの宇宙定数のように、白→黒→白と2回ひっくり返った例もあるようで面白いと思った。
また、人との会話でどうも噛み合わないとおもったら、自分と相手で信じる仮説が違うことを疑ったほうがよい。同じ言葉でもその定義は食い違っているかもしれない。
世の中に絶対に正しいことなど何もないということがよくわかった。
常に自分と相手の常識(仮説)に違いがあるのではないかと疑い、今日正しいと思っていたことも、明日にはひっくり返るかもしれないと思っていると、大抵のことには動じなくなるのではないだろうか?
また、ネット上にはびこるデマや怪しい儲け話などにも騙されにくくなるだろう。
頭が柔らかくなり、物事を違った角度から見ることも出来るようになるに違いない。
すべての人が読んでおいて損はないように思う。